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【節税コラム】

1.4年落ちのベンツを買った場合

 ベンツのCクラスで例えば新車を600万円で買います。新車購入代金の600万円はすぐには経費になりません。車の法定耐用年数である6年間で経費に落としていきます。毎年100万ぐらいを経費として落とせるということですね。

 頑張って600万円出したのに、経費にできるのはその6分の一です。

 キャッシュアウトが伴いますので事業の資金繰りも心配です。

 一方、中古車を買うと、新車購入時とは、耐用年数の求め方が違ってきます。前の例のように新車の場合の耐用年数は6年だったものが、中古車の場合、一気に耐用年数が短くなります。

*耐用年数計算例…(法定耐用年数6-経過年数4)+(経過年数4×20%)=2.8年→1年未満の端数は切り捨て→2年となる。

 耐用年数2年で定率法をとる場合、その償却率は100%です。

 ということは、1年で全額経費に落とせるということになります(買った月により月数按分があるので注意が必要)。

 あまり必要性のない高い車を買って、会社の資金を無駄に使うことは、効率的な事業展開を進めていくうえで、会社の体力を奪う足かせにもなりかねません。節税に一生懸命になったばかりに資金繰りが悪化し倒産なんて事例も見られます。

 資金的な余裕がある場合のお話です。

2.太陽光発電で節税

2011年東日本大震災後に急速に発展した太陽光発電バブル。

太陽光発電設備を取得し優遇税制を適用することで通常の減価償却に加え割増の減価償却や即時償却など多額の経費を計上することができる。

当然太陽光発電ファンドの決算は損失つまり赤字となり、その赤字は出資企業に分配される。

黒字体質の企業、急速に売り上げを伸ばした企業など少しでも税金を減らしたいと考える企業で使われてきた節税商品である。

これには、落とし穴もある。

某太陽光ファンド運営会社は、太陽光設備の取得と稼働日を偽っていた。

設備を取得し稼働し事業のように供しないと減価償却は認められない。出資者は、実際の設備稼働等の詳細は分かりようがなくファンドから通知された損益の数字を受けて自分の会社にその数字を取り込むほかない。

国税の調査で実際の稼働はないとの認定を受けると、損益分配された金額にも影響が出てくる。

つまり、ファンド出資分の赤字計上が認められないということにもなりかねない。

​太陽光バブルは国が電力買取価格を下げ始めたため幾分冷めてきている。

【効果のお話】

1.永久的節税効果

 

○未払費用の計上

 従業員給料、水道光熱費、通信費等、毎月継続して発生する費用をその翌月に後払いするもの。

 

○短期前払費用の計上

 前払費用とは、法人が一定の契約により継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、その事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。

 前払費用は、原則として、支出した時に資産に計上し、役務の提供を受けた時に損金の額に算入すべきものです。事務所の賃借料や保険料等があります。

 法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った金額を継続してその事業年度の損金の額に算入しているときは、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。
 ただし、借入金を預金や有価証券などに運用する場合のその借入金の支払利息のように、収益と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので注意してください。(法基通2-2-14)

 

○役員給与(定期同額給与)

 定期同額給与とは、その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与  で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものをいいます。

 このように、従業員と同じように定期同額であれば役員給与は損金にできます。

 

○役員給与(事前確定届出給与)

 役員に対する賞与は、従業員賞与とは異なり、原則損金にできません。儲かったとき時に自由に役員賞与を出せたなら、好き勝手な利益調整ができてしまうからです。

 そこで、事前に届け出ている場合に限り、例外的に損金算入を認めています。

 事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で、原則、その会計期間開始の日から4か月を経過する日までに納税地の所轄税務署長にその事前確定届出給与に関する定めの内容に関する届出をしているものです。

 

○優遇税制(研究開発、投資、雇用等)の利用

 

○特別償却制度の利用

 

○中古資産等の購入による償却費の計上

 購入にはキャッシュが必要となり、また、償却費も期末までの月割で計上しますので、決算期末の駆け込み対策には向いていません。中には、ベンツなんかを勧めている本もありますが、なにも節税のためだけに大事な会社運営資金を無駄遣いする必要もないかとも思います。

 

○含み損がある固定資産の売却による損出し

 駆け込み対策としても使えるが、税務署の調査ターゲットとなりますので、売却先、売却金額等の証拠資料はきちんと残しておく必要があります。

 

○棚卸資産の売却廃却損等

 よくあるのが、決算セール、決算処分市などです。原価割れで売ることで損出しが出来ます。駆け込み対策としても使えるが、税務署の調査ターゲットとなりますので、売却先、売却金額、また、廃棄するのであれば廃棄証明等の証拠資料はきちんと残しておく必要があります。

 

○貸倒損失の計上

 売掛金が回収できないもの等について貸倒損失を計上します。要件が厳しくなっていますので、通達と照らし合わせて計上します。

 

○貸倒引当金の計上(中小企業)

 

○少額減価償却資産の購入

 中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。年間購入額は300万円までが限度です。

 決算期末の駆け込み節税に有効ですが、キャッシュを必要とします。無駄遣いは論外なので、必要なものを早めに購入した感覚でよろしいかと思います。

 

○従業員への決算賞与

 従業員に一律に支給する「決算賞与」は、損金に算入できます。従業員は喜びますよね。士気も上がることでしょう。

 従業員賞与の損金算入の条件は、決算期末までに従業員全員に対して支給額を通知すること、それと、決算期末から1ヶ月以内に支給することなどの条件がありますので注意が必要です。

 駆け込み的節税対策として有効です。

 

 

○欠損金の繰戻還付、繰越控除

 

○決算期の変更

 

 

2.一時的効果(課税の繰り延べ)

 

○中小企業倒産防止共済(経営セイフティー共済への加入)

 中小企業倒産防止共済の掛金については、毎月5千円~20万円の間で掛金を自由に設定することができ(上限800万円)、その掛け金全額が損金に算入できます。また、12カ月以上掛金を納付することが条件となりますが解約返戻金があるため、節税しながら外部に貯金している感じになります。

掛け金の支払い時に節税になりますが、解約返戻金を受け取った時点で課税されますので、一時的な課税の繰り延べ効果があります。

 共済の詳しい内容は、中小機構HPをご参照ください。http://www.smrj.go.jp/tkyosai/index.html

 

 

○法人保険への加入

 法人保険についても、掛け金の支払い時に節税効果がありますが、満期返戻金や解約返戻金を受け取った時点で課税されることとなりますので、課税が将来に先送りさせるという一時的な繰延効果をもつものとなります。

 それでも、一時的にでも課税を繰り延べるという効果はあるわけで、まだまだ企業のニーズは高い。

 返戻金等を受け取った時点で、退職金を支払うなどの合わせ技対策を練ることが大切になってきます。

​生命保険会社は、2019年の国税庁の指摘を受けて、2月以降、販売を自粛していたが、節税保険について新たにガイドラインを策定することで販売を再開する。

 

贈与税関係

1.親(父母、祖父母)からの贈与

○扶養義務者である父母等からの贈与

 父母、祖父母は子を扶養する義務があります。父母、祖父母から子への生活費や教育費などを必要な都度もらう場合は原則贈与税はかかりません。

 ただし、「通常必要と認められる金額を超える場合」税務署による税務調査において否認される可能性があります。その線引きはグレーゾーンで常識の範囲内ということになるのでしょうが、教育費であれば一般的な学費プラスαでしょうか。税務署も金額の高い低いだけで調査において否認することは大変難しいと思われます。実際に必要だということを税務調査で証明するためにも領収証等をこまめに保管しておくことが重要となります。

○年110万円基礎控除までに抑えた贈与

 贈与税がかからないように年の基礎控除額である110万円の範囲内で贈与を行います。

 注意点としては、贈与する側、もらう側の双方で毎年、「あげる」「もらう」の意思確認を行うこと。その場合、贈与契約書を作成しておきましょう。贈与されたお金、預金通帳や印鑑などの管理はもちろんもらった人が管理します。

相続税関係

1.「5年シバリ」から「10年シバリ」へ

○被相続人と相続人がともに海外移住5年超で海外資産に係る贈与税相続税が非課税となる制度の改正案が平成29年3月末に成立し、平成29年4月から海外移住5年超が10年超に改正された。

 

 節税目的のため「5年の辛抱だ!」と家族で海外へ移住したが、今回の法改正で海外資産の税金を回避するには10年超移住が必要となった。

 海外がよほど好きだという人ならいいかもしれない。また移住した家族全員が食事や生活の面で何の不満も不安もなければそれでいいかもしれない。しかし老後はやっぱり日本で暮らしたいという節税目的だけで移住した人にとって、10年シバリは耐えられるのだろうか。

 国税当局も「パナマ文書」を契機に富裕層の課税逃れ摘発に相当な意欲をもって資料収集と税務調査に取り組んでいる。

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