ソフトバンクグループ(SBG)は、資本取引により損失を生み出すという手法で、国内法人税をゼロにしたという。
以下、資本取引の流れ。
SBGは16年9月、英アーム・ホールディングス(HD)の全株を3.3兆円で買収。
アームHD自体は持株会社で、価値の大半は半導体設計子会社、アーム ・リミテッドにある。
アームHD社は18年3月23日、SBGにリミテッド株の75%(2.6兆円)を現物配当した。
【09年の税制改正で導入された「外国子会社配当金益金不算入制度」を利用。海外子会社からの配当は95%が益金不算入、つまり無税となる。(二重課税を避けるとともに海外の利益を日本に還流させ、経済を活性化させる意図がある)。株式による現物配当も認められている点をSBGは活用した。】
同日、SBGがアームHD株の78%を傘下の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」などに譲渡した。
これにより、配当を出し、価値が落ちたアームHD株を譲渡したため2兆円の損失が生じた。
【日本の税制は取得原価主義をとっている。株式の簿価は買収時のまま維持されていたため、買収時の時価との差額が損失となった。】
業績悪化などがあったわけではなく、親会社が自ら配当として吸い上げたために損が発生したもの。
再編後もSBGはリミテッドの支配を継続し、実態になんの変化もないのに、税のメリットだけを享受している。
日本の法人税法には、組織再編などで税負担を不当に減少させたと国税が判断した場合には申告内容を否認できる規定がある。法人税法132条の「行為計算否認規定」だ。
ただ、何をもって「不当」とするのか法律の明文規定は無がなく、見解の相違を生じさせ、多くは訴訟に至っている。
出典:2019年8月3日 日経新聞
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