藤沢市は「ふるさと納税制度」を来年夏から導入する方針を明らかにした。市税収入の減少への対策として実施する。返礼品は特産品ではなく市内観光などの「体験型」を目玉にし、市内への観光客増加と藤沢の魅力発信にもつなげたいとしている。 ふるさと納税とは、好きな自治体を自由に選び、寄付金を贈ることで住民税などの控除を受けられる上、返礼品としてその地域の特産品などが贈られる制度。市財政課によると、県内でふるさと納税を実施しているのは、12月1日現在、全33市町村のうち28の地域。都市に集中する税収を分散し、地域経済を活性化する目的で近年、導入する自治体が増加している。 藤沢市が導入する背景には、寄付金控除の増大による税収の減少がある。人口増加が続く藤沢市内には他の市町村出身の住民も多く、現在、出身地の自治体に寄付して税の控除を受ける人が少なくない。同課によると、ふるさと納税の影響で税収とならなくなった金額は、2015年度で推計約2億8000万円に上る。市は「本来は市税収入になるはずの金額。小さな額とは思えない」と話す。 対策として今年6月から10月にかけ、市は同課や観光課、農業水産課などの関係課によるワーキンググループを設置し、導入に向けた協議を重ねた。現在は寄付者への返礼品として、主に地域の特産品を提供する他の自治体とは一線を画し、「藤沢市に来たくなり、住みたくなるような観光や、収穫体験などの『体験型』」を検討。江の島観光ツアーや市内での果物の収穫体験などで藤沢の魅力を伝えるとともに、市内での消費拡大にもつなげようという考えだ。 市は「現在、主にふるさと納税制度を利用している世代は30〜40代が中心。返礼品は特にその世代に喜ばれるものを用意したい」としている。今後は、来年3月末までに委託業者を選定し、4月にかけて市民に返礼品の案を募集する。7月から8月にインターネット上で寄付の受入を開始したいという。 財政課によると、導入後の寄付金額の見込みについては、鎌倉が15年度約3200万円、茅ヶ崎が約1600万円だったことを受け、藤沢では約2500万円になると試算している。
(出典:タウンニュース(湘南・県西)2016年12月23日掲載号)
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