我が国の所得税の最高税率は約45%であり、大企業に勤める高収益サラリーマンなどは所得控除額も縮小され重税感に押しつぶされている。
また、相続税はOECD(経済協力開発機構)加盟国で最も高い水準で、今後も富裕層の課税強化は国政の流れとなっている。
そこで、富裕層の法人税の実効税率が20%未満であるタックスヘイブンと呼ばれている国を利用しての節税スキームの活用や香港やマレーシアなど相続税がゼロの国や地域への国外移転が問題となっている。法人にとっての税金は他の経費と同じく「コスト」であり、利益の最大化を求める株主等ステークホルダーからの圧力はもののほか強く、何の手立ても行わず高い税金を支払うことに理解を得られない場合もある。直ちに違法とまでは言えないがはっきりと合法とは言えないグレーゾーン取引に手を染める法人は多い。個人もより税率の低い国を短期間で渡り歩きせっせと節税に励むようになる。
現状の税制では、多国籍企業、富裕層も同じだが、必然的に「税の旅人」となる。
国は、平成24年度税制改正で国外財産調書制度を導入し、5千万円を超える海外財産を保有する人に報告を義務付けた(平成26年1月から施行)。また、平成27年度税制改正で国外転出時課税制度いわゆる「出国税」を導入し、平成27年7月1日以降、国外転出する人が1億円以上の有価証券等を所有等している場合には、その含み益に課税することとした。
「税の旅人」と当局とのイタチごっこは今も相変わらず続いている。
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