国は、将来的に預金だけでなくすべての財産をマイナンバーへ紐つけすることを検討しています。すでに2016年1月から新規に開設する証券口座へのマイナンバーの義務付けは始まっています。すでに開設済みの証券口座についても2018年末までに証券会社に自分のマイナンバーを通知する義務があります。
銀行口座は、2018年から任意でマイナンバーと紐つけされ、すでに21年以降の義務化が検討されています。
マイナンバーを税務調査に利用することで、個人の年収と預金の動きを比較したときに、例えば、年収の数倍の入出金があるなど不自然かつ異常な取引があれば、それを自動的に検知、アラートする税務調査システムなども開発されるかもしれませんね。
実際、株式市場では、インサイダー取引が疑われるような異常な取引があればアラート(警報)が出る仕組みがあるようです。同じ仕組みを預金に紐つけないわけがないですよね。
実は、国税は国税なりに苦労しているのです。現在、年々、申告件数は増加する一方ですが(25年前の1.3倍)、国税庁の職員は予算の関係もあって横ばい状態で、慢性的に人員が足りないず、一番の働き手の30代40代が税務署になぜかいません(配置されません)。しかし、そうはいっても、そこは公務員でもサラリーマンです「できない」なんて上級官庁への報告はできません(出世に響きます)から、常に前年対比クリアの数字を出し、少なくとも事務は回ってますとの体をつくります。当然現場はひっ迫しています。
国税庁の発表によると、実地調査(税務署が調査にくる)の確率は2013年度で、法人が3.0%、個人が1.0%となっています。 確定申告する個人への調査は100年に一度の計算です。
これでは、いくらなんでも低すぎるでしょう(こなけりゃ来ないほうが納税者としては好都合だが)。税務署のマンパワーが足りないのですね。マイナンバーの導入により、事務は幾分軽減されますので、その分の事務日数を実地調査日数に当てれば、現状の低すぎる実調率を上げることができます。
また、今まで、国税は、納税者の所得の把握はできても「資産」の把握はなかなか思うようにできませんでした。
一か所から収入を得るサラリーマンの所得はほぼすべて把握されています。しかし、 複数の企業からの報酬、複数の不動産収入、複数の株式配当などなど収入の発生原因が複雑になるほど所得の把握は困難となっています。資産の把握も、簿外預貯金、他人名義預金、家族・親族名義預金に分散されていれば、正直お手上げ状態となっています。
昨今の税務調査ターゲットは公に広報されているとおり「富裕層」です。マイナンバーを利用して、システマティックに所得と資産を把握する精度を上げていけば、富裕層への徴税も国税の思惑通りとなり必然的に税収も上がるはずです。
Comments